2009年9月5日~7日ソウル2泊3日 30代主婦(愛知県)
足腰が弱くなったお母様との家族旅行
足腰が弱くなって、歩行が困難になり始めたお母様と、5歳のお子様も連れて、家族で思い出作りの旅がしたい…そんな1本の電話から、車椅子での韓国旅行を企画、手配させていただきました。ご依頼いただいたお嬢様からの感想文です。
いろいろと課題はあったものの、お母様も「また旅行がしたい!」と新たな意欲を持っていただけたようです。
― はじめに ―
今回の旅の話が持ち上がった時、真っ先に問題になったのが母の体調のことでした。3年前に父を亡くし、独り暮らしの生活となった母。みるみるうちに体力・気力が落ち、日常をやり過ごすだけに精一杯となった母を旅に連れ出すことは、私たち家族にとって少し勇気の要ることでもありました。
でも、そんな母を支えてきたのは、かつて父が3年ほど単身働き暮らした韓国という地を再訪する懐かしさと、独り暮らしになってからの趣味となった「韓流ドラマ」の空気を感じることだったようです。
今は亡き父は、かつて自分が韓国で暮らした頃の話をよくしてくれました。
しかし、母から当時の話を聞いたことはあまりなかったのですが、今回の旅のところどころで、父を訪ねて韓国まで遊びに訪れていた頃の思い出を語ってくれました。
また、韓国のドラマに夢中の母らしく、ドラマに登場した場所を見つけては、ガイドさんと楽しそうに話をする様子を見て、母を韓国へ再び連れて来られたことをうれしく思いました。
以下は旅の行程を追った日記です。
●1日目 ― 旅の始まり (9月5日) ―
セントレアから1時間40分、眠る間もなく韓国・仁川空港に到着です。早速合流したガイドのキム・ヒヨンさん(以下・ヒヨンさん)の案内で市内へと入ります。
初日のメインイベント「NANTA」の会場時間まで時間があったので、「東和免税店」でお買い物。
一緒に行った息子は、買い物に付き合わされ、案の定、ご機嫌ナナメです。
ようやく息子お待ちかねのナンタの始まり!
思ったより狭い会場のさらにVIP席とあって、怖いぐらいの迫力です。
最初、訳が分からず戸惑っているように見えた息子も、すぐに手を叩いてのめり込んでいる様子!
言葉がなくても分かるストーリーなだけに、子供も外国人も垣根なくナンタの世界へ。
ラストへ向かって会場の雰囲気は最高潮!
えっ!もう終わり~!?
ショーの終演後、陶酔したような様子の息子は、眠る直前まで
ナンタの世界の住人でした(笑)
ショーのあとはお楽しみの夕食タイム。
3日間の韓国滞在が楽しいものになるようにと乾杯して焼き肉に舌鼓を打ちました。
家族のお気に入りはやっぱりカルビ!濃厚な肉の味と噛み応えが最高。
海鮮チヂミもペロリと平らげて、店を後に。ホテルPJへ落ち着き、一日目は終了です。
●2日目 ― いざソウルの市街地へ!(9月6日) ―
ホテルPJでの目覚めはきれいな朝日から。想像以上に広い客室に家族も大満足です。
今日は市内でお買い物中心の日程。
息子は昨日のナンタが忘れられず、「今日も観るんだ」と諦めきれない様子。
そんな息子はなだめつつ、まずは朝食へ。
「アワビのお粥」の朝食は、昨日のガツンとした焼き肉のあとだけにお腹に優しいセレクト!
しっかり腹ごしらえのあとは、明洞の街を散策です。
通りはキレイに整備されているので、車イスでも比較的自由に散策できます。
ここでは、お目当ての眼鏡を作ることに。
ヒヨンさんの持っていた割引クーポンをいただいて、まとめて3本の眼鏡をお買い上げです。
それにしても韓国の人は商売上手!
あれよあれよという間に財布からお金が飛び出してしまうような感覚です・・・。
お昼はちょっと早めにサムゲタンの名店「土俗村」へ。
見たところほとんどが韓国人。
ゴロン!と大きな鳥に度肝を抜かれながら、見よう見まねで食べてみます。
スープは濃い味に慣れた名古屋人の私たちにはやや薄味でしたが、複雑に絡まったダシの味がして美味。パワフルな韓国人の元気の源を見た思いです。
私たちが食事を終えて外に出た時には、一体入るのにどんだけの時間がかかるんだ?という程の長蛇の列!ガイドさんのタイムスケジュールが吉と出て、列を横目に店をあとにしました。
その後、「南山韓屋村」へ。
ちょうど地元高校生たちのイベントが行われていたようでとっても賑やかな雰囲気。
ただ南山のふもとにある場所だけに、傾斜が思ったよりキツく車イスの母を押すのが大変。
本当なら目の前にそびえる「ソウルNタワー」に上りたかったところだったのですが、車イス、徒歩も無理と判断して、夜景の見える時間に「63ビル」へ行くことに変更しました。
続いて訪れた南大門市場(写真は参考)は、所々で道の整備中。
しかも、お店が多く並んでいて、子ども連れで、車イスを押しながら、ブラブラと当てもなく歩くのは、難しい場所だったかもしれません。
さすがに、車イスで行けるような場所ではないと思いましたが、
途中、お店の人が手伝ってくれたり、ヒヨンさんの誘導で何とか一通り歩いてくることができました。
続いて、私・ママのお目当ての革のジャケットを探すためにイテウォンへ。
当初、東大門の光照市場へ連れて行ってもらう予定でしたが、
夜遅くのマーケットを歩くだけの気力が息子にも母にも残りそうになかったので、
「日本人好みのデザインでしっかりした造りのものを」という希望がかなう店として、
ヒヨンさんオススメの「ノース・ビーチ」へ連れて行ってもらいました。
評判通り、素敵なデザイン・品質のものがすぐに見つかって、大奮発した革のコートを一枚GETです。
その後、夕方の漢江クルーズへ。ゆっくりゆっくり流れる船の上で見るソウルの夕暮れ。
ビルとビルの合間に時折顔を出すソウルタワーを眺めながら、ここが韓国だということを実感します。
息子もパパもデッキで風を浴びて、初めて見るソウルの街並みをぼんやりと眺めていました。
この日の夕食はサムギョプサル。初めて食べる味に興味津々。
店員のお兄さんが丁寧に切って焼いて、とても食べやすくて美味しいお肉(写真は参考。同じお店です)。
早々に食べ終わった息子は、すっかり仲良くなったヒヨンさんとドライバーさんと店の外でおしゃべりタイム。
「カムサハムニダ」「アンニョンハセヨ」 なぜか、「ウ○コゴスムニダ(笑)」
(チャルモゴッスムニダの言い間違え?)の3つのフレーズだけで、韓国の夜を満喫している息子なのでした。
2日目の締めくくりは「63ビル」の展望室へ。
しかし思ったより室内が明るかったせいで、肝心の夜景がハッキリ見えず・・・、
ガラスに顔をくっつけ手で顔を覆わなければ外が見えない・・・(泣)
漢江沿いの車のヘッドライトの列、そびえたつNタワー、乱立するマンションの夜景を目に焼き付けて、ホテルへと戻りました。
2日目は、狭い範囲ながら、盛りだくさんの内容でのドライブ。
途中で疲れてリタイヤするかと思われた母も最後まで付き合ってくれて、活気溢れる街の様子を堪能できたようです。
●3日目 ― 最終日 (9月7日) ―
早いものであっという間に最終日。あいにくの曇り空。朝食を食べに明洞のソルロンタンのお店へ。朝早くだというのにお客さんで一杯。
ヒヨンさんに食べ方をレクチャーしてもらいながら食べます。
特にこの店の大根キムチが家族みんな気に入って、早速お土産用にどっさりお持ち帰り。
その後、ロッテマートで少し買い物をしてから、最終目的地の仁寺洞(写真は参考)へ。
あいにく雨がパラつく中、傘をさして散策になってしまいました。
狭い通りに車が行き交ったり、道が整備中だったりと、車イスにとっては過酷な状況・・・。
石を敷き詰めた歩道は滑りやすく、杖をついたりする足の悪い方たちには、危ない感じがしました。
しかし、そんな中でも、以前の訪韓の際に気に入ったお土産店
「ウリセゲ」を探し出し、シメのお土産をGET!
品数は多くありませんが、センス、質ともに満足できるお土産が手に入ります。
ここでサプライズ。
ガイドのヒヨンさんが「お母さんに」と言って、店の外で待つ母に素敵なストラップをプレゼントしてくれました!
カムサハムニダ!
そして、この旅最後となるランチを食べるために「古宮」へ。
ビビンパといっても、日本で食べるものとはひと味違うテイスト。
石焼きビビンパ好きの母は少々お気に召さなかったようですが、追加で食べたチャプチェとともに味わって食べました。
私たちが店に入ってからしばらくして、ランチタイムの会社員やOLさんたちが続々と店内へ。
それにしても彼らの豪快な食べっぷりはお見事!韓国の人たちは本当によく食べます!
フライトの時間も迫ってきたため、ここでソウルのお楽しみはタイムアップ・・・。
ビジネスモードの月曜の街並みを通り過ぎながら、一路空港へと向かいました。
― 旅のまとめ ―
今回の旅のキメ手となったのは、やはりガイドさんの存在です。旅の最初から最後まで、母の身体をよく気遣って下さり、車イスや乗り降りの介助を快く引き受けて下さいました。
何よりいつもとっても落ち着いていて、私たちを急がせたりすることなく、じっくりと待つ姿勢がとても好感の持てる女性でした。
ソウルの街の中は、バリアフリーが進んでいるとは言えない状況であることは覚悟していましたが、予想以上に過酷であることが実感です。
幸い母は短い時間なら自力で歩くことができたため、段差や階段も何とかこなすことができましたが、完全に車イスに頼った場合の街歩きは、かなり大変だろうと思います。
今回のような場所を効率よく回ろうとした場合、やはり自由の効く専用車とガイドの存在は必要不可欠であると思いますし、これからの高齢化社会、ますますそうした需要が増えるのではないかと思います。
韓国が初めてだった主人は、韓国人の持つエネルギッシュな雰囲気と活気のある街の様子が印象に残ったようです。
今回はソウルの中心地だけを回ったので、次回は少し郊外にも足を延ばして、伝統文化に触れるような旅がしたいと言っていました。
何より、塞ぎ込み気味だった母が最後まで無事に旅ができたのは、事前に細かく打ち合わせをしていただいた「にこまるツアー」さんと現地のガイド・ドライバーさんのおかげと、大変感謝しています。
「こんな旅ならまた行ってみたいわ」と母。本当にありがとうございました!
にこまるのコメント
お母様が自力歩行が可能ということもあったので、難しい場所だけ何とかかわしてもらえればと…と思っていたのですが、結果として、無理な場所も出てしまいました。今回、実際に車椅子で移動するにあたって、様々な必要なことを教えていただくことができ、また今後こういった旅行を取り組む上でも大変貴重なご意見をいただきました。
実際、韓国はソウルといえどもバリアフリーは進んでいません。西欧に比べると、日本を含めて、アジア全体がそうだと思います。課題はいろいろとありますが、全てにバリアフリーを期待するのではなく、ちょっとチャレンジ精神を持っていただければ、十分、その場の雰囲気、空気を味わうことができ、旅行することは可能になると思います。
何よりも、お母様が「また、行ってみたい」と思ってくださったことは、本当にうれしく思います。
5歳のお子様もご一緒で飽きさせない工夫も…ということだったのですが、ナンタでは大盛り上がりしてくれた様子で、うれしい限りです。
お客様のおっしゃるとおり、今後、こういった家族旅行のニーズも増えてくるかと思います。
ぜひ、がんばりたいと思います。ありがとうございました。