台湾でダムと言えば「八田與一」が有名ですが、ほぼ同時期の日本統治時代、高雄市の隣、屏東県来義郷に地下ダムを建設したのが鳥居信平です。
烏山頭ダムをはじめとする国家事業を行なった八田與一に対し、台湾製糖に入社した鳥居信平は、原料となるサトウキビの農業生産を高めるため、民間事業としてダムを建設します。それも地下で地下水を蓄えるという、いわば「地下ダム」。 国家事業であれば記録も多いですが、目立つ地表ダムとは異なり、その偉業は、日本でも台湾でも、あまり知られていません。
この地下ダムは、1923(大正12)年に完成した「二峰圳」。
上には林辺渓という川が流れていて表からは見えませんが、地下水を蓄えるためダム底に土砂は堆積せず、良質な地下水が用水路を通して地域にいきわたるようになっています。
農業用水としてはもちろん飲料水としても利用しているとのことで、90年以上経過した現在でも、まさに地元の生活に欠かせない存在なんだそうです。
2015年9月11日には、屏東県の文化処が企画し、鳥居信平の貢献に感謝を伝えようと、ダム竣工時に鳥居氏が植えたマホガニーの老木の誕生日を祝うイベントが行われます。