日本統治時代に台湾で生まれ、引き揚げてきた日本人に焦点を当てた台湾のドキュメンタリー映画「灣生回家」が、本日2015年10月16日より台湾にて公開が始まりました。
「灣生回家」とは、日本統治時代に台湾で生まれた日本人「湾生」が、故郷・台湾に帰るという意味。 初期の台湾への移民たちは、マラリヤとも戦いながら、土地を開拓。そこで子供も生まれ、病院や学校なども作られていきます。しかし、日本の敗戦により、日本に引き揚げ。多大な苦労の中から再び生活を始めていきました。
しかし、台湾生まれの子供たちにとって、祖国は日本でも、故郷は台湾。すでに高齢となっていますが、ドキュメンタリーの撮影を通し、台湾へ帰るというもの。家族とともに、当時の様子や家族との生活を振り返りながら、懐かしさと同時に、すでに失われいる存在への悲しみも描かれていきます。観た人の感想の中には、「涙なくしては見れなかった」ともつづられています。
この映画を企画したのは自身も移民4世にあたる台湾の画家で作家の田中実加(陳宣儒)さん。12年前から自分自身のルーツでもある花蓮の吉安郷で取材を開始。この地域は徳島県からの移民が多く、吉野川にちなんで、吉野村と名付けられていました。以後、200名もの「湾生」たちとその家族を取材してきたとのこと。同名の書籍(中文)も出版されています。
日本では、来年秋頃の公開が検討されているそうです。