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台湾少数民族(原住民)の伝統文化に触れる
台湾は小さい島ながら、多民族国家。16世紀以降移住してきた98%の漢民族以外に、元々、台湾に先住していた2%の少数民族が暮らしています(注:台湾では「原住民」と表されてます)。
現在、台湾政府が原住民として認定しているのは16部族。主に「高山族」とも呼ばれた中央の高山地帯から東側にかけて暮らす民族です。著名人の中にも原住民は多いです。
各所で伝統的な舞踊や民俗文化の紹介、また部落内見学を受け入れているところもあります。
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
台湾原住民分布図と人口
現代の原住民の大よその分布図です。もちろん都市部で働く原住民族もいて、日本でも知られる著名人も多いです。各地の原住民部落などでは伝統文化も伝承されています。台湾政府が認定する原住民は、2014年新たにカナカナブ族とサアロア族が認定され16部族になりました。その他にも認定はされていませんが、「平埔族」と呼ばれ、元々西部の平地に暮し漢化が進んでいる原住民族もいます。
■原住民族人口統計
1.アミ族(阿美族) 202,108人
2.パイワン族(排湾族) 97,078人
3.タイヤル族(泰雅族) 86,523人
4.ブヌン族(布農族) 56,447人
5.タロコ族(太魯閣族) 30,014人
6.プユマ族(卑南族) 13,520人
7.ルカイ族(魯凱族) 12,913人
8.セデック族(賽徳克族)9,235人
9.ツォウ族(鄒族) 6,688人
10.サイシャット族(賽夏族)6,459 人
11.タオ族(達悟族) 4,452人
12.クバラン族(噶瑪蘭族)1,394人
13.サキザヤ族(撒奇莱雅族)858 人
14.サオ族(邵族) 764人
15.サアロア族(拉阿魯哇族)245人
16.カナカナブ族(卡那卡那富族)234人
・未申請 14,729人
(2015年7月台湾・原住民族委員會調べ)
台湾原住民族の文化に触れられる主な観光スポット
【台北】台北でも原住民文化に触れられる「順益台湾原住民博物館」
台北・故宮博物院の斜め向かいに「順益台湾原住民博物館」(http://www.museum.org.tw/symm_jp/)があります。各原住民族が暮らしてきた自然環境や、住居、生活空間での道具類、服装や文化などが展示されています。
多くの原住民族がいる台湾。故宮観光と合わせて、ちょっと立ち寄ってみると、面白いかもしれません(^^)
【烏来】台北から日帰り出来るタイヤル族の村
台北の南郊外の山間、淡水河の支流、南勢渓の上流にある烏来(ウーライ)。この一帯は台湾先住民族の一つタイヤル(泰雅)族が住んでおり、「ウーライ」の名も、タイヤル族の「湯気が立つ湯(温泉)」を意味する言葉を聞き、音を漢字にあてはめたもの。
その名の通り温泉も出ますが、温泉以上にタイヤル族の民族舞踊や料理 、また景観など、台北からの日帰り観光地として、おすすめの場所の1つです。
【日月潭】台湾の先住民族の生活文化がわかる 九族文化村
台湾中部の日月潭周辺はサオ族が暮らす一帯で、南側の湖畔には伊達邵逐鹿市集もありますが、湖東側のロープウェイで上がったところには各部族の文化を紹介する「九族文化村」があります。文化村設立当時は、台湾の原住民は9民族が認定されていたため「九族」となっていますが、現在は14民族がエリアに分けて紹介されています。(注:認定原住民は、2014年にカナカナブ族と、サアロア族が追加認定され、16部族になっています。)
【阿里山】阿里山に暮らす先住民族「ツォウ族」
阿里山の南側一帯には、ツォウ族の集落が多くあり、各所でツォ族の文化にも触れられます。また、阿里山公路沿いにも、観光向けに伝統舞踊や文化を紹介する優遊吧斯(YUYUPAS)があり、気軽にツォウ族の文化に触れることもできます。
(写真提供:台湾観光局/台湾観光協会)
【花蓮】台湾最大の先住民族 アミ族の舞踊ショー
台湾の先住民族の中で、およそ3分の1がアミ族(阿美族)。花蓮から台東にかけて東部海岸沿いに多く暮らしています。タロコ渓谷の玄関口、花蓮にある阿美文化村では、舞踊ショーが行われています。恋愛や狩猟などのアミ族の物語をテーマにしたものの他、観光客も交えてのダンスもあります。
舞踏ショーとは別にアミ族の大切なお祭り「豊年祭」が、南の台東側から7~9月にかけて各地で開催されます。
【花蓮】原住民住居をイメージした「リーダーヴィレッジタロコ」
太魯閣渓谷に向かう山間に、原住民住居をイメージした宿泊施設「リーダーヴィレッジタロコ(立徳布洛湾山月邨)があります。従業員もタロコ族の方々で、原住民の部落をイメージしたログハウスがならび、数々の手工芸品で装飾され、夜には舞踊ショーも行われています。
美しい山々と緑、満天の星を眺めながら、原住民文化を満喫するのもいいですね。
【台東】最も先住民族の割合が多い台東県
台東県は、アミ族、ブヌン族、プユマ族など原住民の人口割合が最も多い県です。延平郷のブヌン族の部落内には観光農場が設立され、果樹園やコーヒーショップ、芸術センター、伝統的な歌唱法による祈祷歌や伝統舞踊等の披露もされています。
その他にも台東県内には、アミ族の民族舞踊と伝統料理が味合えるレストラン、プユマ族の遺跡が見れる卑南文化公園、パイワン族の撒布優原住民部落、また事前予約制の体験ツアーを受けいている部落が点在しています。
【台東】海洋民族タオ族が暮らす小島「蘭嶼(ランスー)」
台東の沖合にある離島で、台東から小型飛行機、または船が出ています。住民は、フィリピンのバタン諸島より移住したとみられる先住民族のタオ族がほとんどで3000~4000人ほどがくらしている島です。元々の伝統家屋は、台風を避けるため土台部分を掘り下げ、半地下状態で家屋を建てていました。漁業の主な獲物はトビウオで、漁船は独特のデザインと美しい装飾がなされています。
※蘭嶼は、先住民族のみが暮らす特殊な島で、観光地化されているわけではありません。許可なく原住民の撮影や、日常生活、風習を侵害しないように観光する必要があります。あらかじめ、ご了承ください。
知っておきたい霧社事件
霧社事件
台湾中部、日月潭より北側の山間に霧社という場所があります。
日本統治時代後期の1930年に、セディク族のある部落リーダーの長男が、通りかかった警察官を婚礼の場に誘ったところ、この警察官は振り払うように拒み、この長男を殴打してしまいます。それがきっかけとなり、武力蜂起が起きてしまいました。
セデック族は男は男らしくの意識が強い部族。根底には、これまで原住民としての尊厳が守られて来なかった不満もあったようです。
事件は間もなく軍と警察により鎮圧されましたが、セデック族の中でも蜂起組と対立し、日本側の見方となっていた別の部落が、蜂起組の部落を再襲撃する第二霧社事件も起きてしまいます。蜂起組の残りの部族は、少し離れた清流部落(当時の呼称で「川中島」)へ強制移住させられました。
霧社には記念碑があり、清流部落も観光可能です。今では、もちろん日本人も快く迎えてくれます。