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ガリラヤ湖周辺/北部
―ガリラヤ湖周辺―
ガリラヤ湖の夜明け
ガリラヤ湖の夜明け
かもめ飛び交うガリラヤ湖
かもめの飛び交うガリラヤ湖
漁船を模ったガリラヤ湖遊覧船
2000年前の漁船を模った遊覧船

●ガリラヤ湖

 日本語での「ガリラヤ湖」と呼ばれていますが、実は湖の名称ではなく、See of Galilee(ガリラヤ地方にある海)に由来しています。「ティベリア湖」または、その形が竪琴(ヘブル語でキノール)に似ていることから「キネレト」とも呼ばれています。

 中心地はティベリアで、約2000年前、A.D.20年頃、ヘロデ大王の息子、ヘロデ・アンティパスが、ローマ皇帝ティベリウス・カイザルの名前を取って建設した都市です。新約聖書にもティベリア(テベリヤ・ティベリアス)は出てきますが、主イエスがこのティベリアで活動した記録はありません。皇帝由来の名前を嫌ったのでしょうか…。あるいは、あえて人の集まる都市部を避けていたのかもしれません。


● ペテロの再召命教会
ガリラヤ湖の漁師
ガリラヤ湖の漁師
(ペテロの再召命教会の岸辺から)
 
ヨハネの福音書の最後、復活の主イエスがペテロに「あなたはわたしを愛するか…」と3度尋ねられた記事に由来する再召命教会です。

 ヨハネ 21:4 夜が明けそめたとき、イエスは岸べに立たれた。
けれども弟子たちには、それがイエスであることがわからなかった…。

 ガリラヤ湖のほとりにあります。湖を眺め、そのシーンを頭に描きながら、しばし黙想してみてください。


● カペナウム(カファルナウム)遺跡
 ペテロの実家跡と、すぐ前にA.D.1〜3世紀のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)跡が発掘されています。
 ペテロの実家と、会堂の距離が比較的近かった聖書記事(マルコ1:29)の様子から、カペナウム会堂跡前の民家がペテロの実家として位置づけられているようです。
 ペテロの実家はともかくとして、主イエスもこの会堂でも語られたのは確かでしょう。会堂の建物部分はAD3世紀のものですが、土台は主イエスの時代からのものであることがわかっています。
カペナウム ペテロの実家跡 ペテロの実家の土台 カペナウムのシナゴーク跡
ペテロの実家跡に立てられた教会 ペテロの実家跡の土台部分 シナゴークの遺跡

● 山上の垂訓(山上の説教)の丘(マタイ5〜7章)
山上の説教の教会
山上の垂訓の丘教会
山上の説教の丘より
教会裏より、ガリラヤ湖を望む
 丘の上に記念の教会がありますが、ぜひ、その周囲の風景にも注目してください。実に、のどかな丘陵地帯です。実際は、1度にこの説教をこの場所で語られたわけではありませんが、こういった郊外で多くの説教を語られていたのは確かでしょう。
 そこには会堂に集うこともできなかった病人や、遊女や取税人といった罪人たち、多くの大衆が集まってきました。主イエスは、そういった彼らを受け入れていったのです。

 空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。
 けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。
 あなたがたは、鳥よりも、もっとすぐれたものではありませんか…。
 マタイ 6:26

 一方で、その背後にはパリサイ派、律法学者といった多くの論敵たちも集まっていたことも覚えておきたいものです。
 主イエスは「アバ父(パパ)」と呼んで紹介したのです。神の名を口にすることすら恐れていたユダヤ人たちにとって、身の毛のよだつ教えです。そういった教えの一つ一つが、実に、十字架にまで結びついていく、命がけの説教でもあったのです。

● セント・ピーターズ・フィッシュ(聖ペテロの魚)
聖ペテロの魚
セント・ピーターズ・フィッシュ

 釣り上げた魚の口に銀貨があるマタイ17:24〜27の記事に由来するガリラヤ湖の淡水魚です。
 「ティラピア」という種類で、日本の種類で言うと「カワスズメ」に近いそうです。このティラピアは、オスの口の中で卵を孵化させる習性を持っており、孵化した稚魚が口から外へ泳ぎ出る様が銀貨のようにも見えることから、「セント・ピーターズ・フィッシュ」と呼ばれるようになりました。
 淡白な淡水魚ですが、イスラエルツアーの記念メニューとして定番になっています。

信仰告白の地 ピリポカイザリア
ピリポ・カイザリア
国立公園としても親しまれている
● ピリポ・カイザリア(バニアス)
ピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちに尋ねて言われた…。
「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」
シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子キリストです。」
マタイ 16:13〜16

 イスラエルの北端、ヘルモン山のふもと、レバノン、シリアの国境にも近いところです。ここまでくるとイスラエルも、緑の生い茂る、水の豊かな場所になります。
 ヘルモン山からの雪解け水が湧き、ヨルダン川の三大水源のひとつで、国内で販売されているミネラルウォーターの中には、この地域の水を利用しているものもあるそうです。

 バニアスという地名は、ギリシア神パンから由来しており、神殿の跡が残っています。ヘロデ大王の息子ピリポが改修補強し、ピリポ・カイザリア(ローマ皇帝カイザルに由来)と名づけましたが、そもそも異教的な町として栄えていたのです。
 その町で、ペテロが「生ける神の子」と信仰を告白したのは興味深い点です。

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